テックブログの発信元に存在する2つの視点と読み手からみたほしいコンテンツ
こんにちわ。従業員体験( EX ) の向上がミッションのエンジニアリング統括室に所属しているてぃーびーです。
ITエンジニア(アプリケーションエンジニア、インフラエンジニアなどIT関連職種全般を意図しています)の採用競争は激化する一方です。そういった背景もあり、採用広報の手段としてテックブログで発信するという企業は多いのではないでしょうか。そこで、「テックブログの発信元に存在する2つの視点」と「読み手からみたほしいコンテンツ」について整理してみることにします。
テックブログの発信元に存在する2つの視点
テックブログの発信元には2つの視点があります。組織からの視点と執筆者(=従業員)からの視点です。
組織視点
組織視点でみた場合、テックブログの主な運用目的は採用広報です。
自社の開発組織のことを知ってもらい、よい組織であると認識してもらうことで、転職先の候補として想起してもらいやすくするためです。
場合によってはテックブログの発信が自社の事業のマーケティングにつながる場合もありますが、各企業の事業によるので今回は考慮外とします。
執筆者視点
執筆者の中には大きく分けて2種類あります。
- 自社の採用活動の成功に関心がある人
- 自社の採用活動の成功に関心がない人
この2つです。
1の場合、まずマネージャーが対象でしょう。
その他としては、自社へのエンゲージメントが高く、自社が成功していくことに協力したい人です。別のケースも考えられて、優秀な同僚と働けることの価値を知っていて、自分のためにいい人の採用を手伝って優秀な人から刺激をもらいたい人です。
2の場合、さらに分けると2種類あります。まずは自社へのエンゲージメントが高く、自社が成功していくことに協力したいと思っているが、採用が組織の成功に重要である、という意識がない人です。もう1種類は組織の成功への関心が薄い人です。
個々人には様々な価値観があり、組織にも様々な人が所属します。そのため、特にこれらの分類をもとに非難する意図はなく、単に分類しているだけです。
採用目線の動機がある執筆者
採用活動の成功に関心がある執筆者の場合、組織の目的である採用広報と一致しています。
採用目線の動機がない執筆者
採用活動の成功に関心がない場合、執筆の目的は個人的なものになります。
個々の価値観は様々ですが、おそらく以下のようなものがありえるでしょう。
- より広い範囲の人の役に立ちたい。そのために読み手の役に立つ情報を提供したい
- 社外の人が発信したブログなど、アウトプットの恩恵を受けているので自分自身も恩送りをしたい
- ブログを書くこと自体が学習になるので、その一環として執筆したい
- とにかく物事をわかりやすく説明するのが好き。説明したい
- 技術者としてのセルフブランディングのため、転職する場合のプラス要素にしたり、よい出会いのきっかけを増やしたい
読み手からみたほしいコンテンツ
次に読み手について考えてみましょう。
読み手にも大きく分けて2種類あります。
- 転職を踏まえずに読んでいる読み手
- 転職を踏まえて読んでいる読み手
この2つです。
転職を踏まえずに読んでいる読み手
転職を踏まえずに読んでいる読み手が求めるものの典型として以下の3つがあります。
- 役に立つ情報
- 共感できる情報
- 面白い情報
転職を踏まえずに読んでいるわけですが、ここでアウトプットの恩恵を受けた影響で、結果的にはいざ転職活動を始めた際に転職先候補として想起することもあるでしょう。
役に立つ情報
- 今困っている問題を解決できる解決策となる情報
- 今困っている問題を解決するためのヒントとなる情報
- 今後出会うシチュエーションの役にたつかもしれない情報
あたりがあります。ITエンジニアの場合、技術に関する情報に着目している事が多いと思いますが、組織改善にも関心があるタイプの人は、改善のヒントになる情報にも関心があるでしょう。
共感できる情報
個人ブログではなく会社のブログだからこそかける組織の文脈を含めた困難の解決や、困難真っ最中の叫びなど「わかる」「くびもげ」のようなリアクションを生み出すような情報です。
面白い情報
いわゆるネタ記事を楽しむものです。草が生えるような情報です。
転職を踏まえて読んでいる読み手
転職を踏まえて読んでいる読み手が求める情報は「本人が転職先に対して求めている点」になります。そのため、その内容は多様です。いわゆる「動機づけ要因(満足要素)」「衛生要因(不満要素)」を確認するためのエビデンスを探す、という視点になります。
例えば、
- SREとしてキャリアを築ける組織で働きたい
- 勉強意欲が高い優秀な同僚と働きたい
- レガシーな環境は避けたい。新しい技術を積極的に活用できる組織で働きたい
- フルリモートワークがないと不満
などがあった場合、それぞれの情報の裏取りになる情報をブログの中から検索やカテゴリから探して確認することになるでしょう。
まとめ
本来アウトプットは読み手があってのものです。その点から考えると求められているのは
1. 役に立つ情報
2. 共感できる情報
3. 面白い情報
4. 個々人の転職軸に関わる情報
になります。発信側が採用の成功を意識している執筆者の場合は、読み手が求めているものを意識しやすいため求められるコンテンツと発信シているコンテンツはブレにくいかと思います。
一方で、採用の成功に関心がない人ばかりだった場合、コンテンツが技術関連に偏りがちになるのでは、と思います。
テックブログ、開発ブログという名前も相まって「テックブログだからテックの情報のみを出す場所だよね」という認識が発生しやすいこともあります。私は前職でITエンジニアの採用を担当していて、様々な方の転職動機を確認したり、転職先として選んだきっかけを確認する機会がありましたが、実際にテックブログの発信について技術要素だけではなく組織の特徴を確認して応募している方は珍しくありません。
技術に関わる発信自体はとても大切ですが、読み手からはその他の組織文化・勉強会の情報・どんな人が所属しているか、などの情報も求められているので、ブログに関わる人全体の中でコンテンツのバランスをとっていきたいですね。